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フィナステリドのジェネリック医薬品のメリット・デメリット

男性型脱毛症は、現在ではAGAと呼ばれて一つの疾患として治療の対象となっており、AGAの治療ではフィナステリドという有効成分を含む処方薬を使用することが多く、加えてビタミン剤などの身体のバランスを整える処方薬が投与されます。男性型脱毛症の治療は自費負担となる一方、フィナステリドを含んだ正式な薬品の発売元であるMSDの「プロペシア」という処方薬は高価で、年単位の継続的な治療が必要になることがほとんどの男性型脱毛症では費用の高さから治療に踏み切れないという状況がありましたが、現在ではプロペシアと同じものを主成分とするジェネリック医薬品が多く発売されており、ジェネリック医薬品は成分自体はプロペシアと同じですが加工の仕方などに違いがあります。そのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのか、詳しく解説します。

 

AGAに対するジェネリック医薬品は後発品と呼ばれ、沢井製薬、ファイザー、クラシエという3つの製薬会社が発売しており、全てがMSDが販売しているプロペシアより安価な価格で提供されています。プロペシアが毎月1万円前後の費用が掛かるのに対し、これら3つの製薬会社が出す処方薬では5千円程度という半分の価格で利用することができるため、AGA治療が継続しやすくなり、この価格が後発品の大きなメリットと言えますが、一方、これらの後発品には加工の仕方・安全性・情報量の少なさというデメリットもあります。
後発品はそれぞれの製薬会社が開発に携わったわけではなく、開発元の有効成分のみを利用して錠剤のコーティングなどを簡素にすることで安く販売しているもので、錠剤のコーティングは服用のしやすさや体内での吸収速度に関連しており、正式なプロペシアと比べて体質によっては飲みづらかったり、効果がでづらいといったことが起こる可能性があり、後発品には基本的に安全性試験が施されておらず、効果が出るかどうかを確かめるための有効性試験しか実施されないため、確実な安全性を保証できないというデメリットもあり、さらに製薬会社は後発品の情報を細かく公表しない傾向にあるため、処方薬の情報を得づらいという不安もあります。しかし、後発品はこれらのデメリットが考慮されてむやみやたらに処方されることはなく、基本的には患者と医師の相談のうえで副作用や効果の程度を適宜確認しつつ、MSDのプロペシアと比較しながら使用していくことがほとんどのため、処方に際して柔軟性が高いというメリットもあります。

 

以上のように、AGAに対する有効成分であるフィナステリドを含んだジェネリック医薬品には安価で継続がしやすいというメリットとともに、加工方法が元々の薬であるプロペシアと異なるため同じ効果が得られないという点、有効性試験は実施されても安全性試験が行われることはほとんどないという点、製薬会社は後発品の作用や仕組みなどの細かい情報を発表しないという点でデメリットがあると言えます。数だけ見るとデメリットの方が勝っていますが、実際には後発品は先発品であるプロペシアを試したうえで、経済的な事情を考慮して患者の合意のうえで処方され、さらに副作用の改善の必要性や効果が見られないことがあればプロペシアや他の後発品に変更できるという柔軟性もあります。このように、後発品のメリットは長期的な治療が欠かせないAGAの改善を続けることに大きく貢献する一方、健康上のリスクや効果の発現が確実ではないというデメリットもあり、一概に良し悪しを判断することはできないため、使用する患者の体質や症状の程度に合わせて医師とともに自分に合った薬かどうかを見極めるということが大切です。